研究開発体制

  • 「貼る」のさらに先へ。
    開発しているのはラベルの未来です

    ラベルで社会はより良い方向に変えられる、私たちはそう信じています。

  • ウエットティッシュ用ラベル素材しっとりした開け心地で繰り返し貼れる

    バランスのとれた粘着力が「しっかり貼付する」のに「しっとり剥がせる」を可能にしました。

  • 高平滑グラシン剥離紙使用ラベル素材ポリエチレンラミネート加工なしでもきれいで滑らか

    見た目の美しさだけでなく、ラベル素材全体が環境に配慮した設計になっている点も強みです。

  • ホットメルト粘着剤使用ラベル素材ラベル製造・廃棄時のCO2排出量を約25%削減

    リンテックが目指すCO2排出量50%以上削減に貢献する強力な製品と期待されています。

  • モノマテリアルラベル素材PET製容器とのモノマテリアル化を実現

    リサイクル効率化の鍵は、容器との単一素材化と洗浄工程でのインク除去機能付与にありました。

SUCCESS STORY

メタリック調なのに、光を透過
未来感をカタチにしたハーフ蒸着技術

「こんな素材、初めて」。手にした瞬間、誰もがそう口にするLivastaの「ハーフ蒸着ラベル素材」。視線をつかんで離さない意匠性の高いデザインは、化粧品や日用品、食品などあらゆる業界で活躍が期待されています。開発の舞台となったのは日本、そして米国。2国間で協力し合いながらの開発は、これまでとは違った困難があったようです。

  • 池上大輔

    粘着材料研究室

    池上大輔

    2014年入社。「ハーフ蒸着ラベル素材」では3年かけて粘着剤を開発。無事に上市できた理由について伺うと、「それぞれの研究成果のシナジー」と回答。木村氏に負けじとインパクトのある言葉を残す。
  • 杉本孝司

    市場開発室

    杉本孝司

    2017年入社。「Livasta」のマーケティング担当として日々、日用品から工業までさまざまな業界を走り回る。「ハーフ蒸着ラベル素材」の今後の展開を伺うと「あらゆる業界で目にすることになると思います」と自信満々。
  • 木村達也

    粘着材料研究室

    木村達也

    1995年入社。2017年までタイの工場で品質管理に携わった後、2018年に「ハーフ蒸着ラベル素材」の開発のためにアメリカへ。インタビューでは「蒸着は生き物」という名言を残す。

※掲載内容は取材時点のものになります

米国VDI社の子会社化が
開発のきっかけに

杉本

杉本

金属などを蒸発させ、素材の表面にコーティングする技術を“蒸着”と言い、ハーフ蒸着はその金属の蒸着量をコントロールしたもので、通常の蒸着素材にはない透け感が特徴です。
ハーフ蒸着素材が使用されている最終製品は、窓ガラスに貼るウインドーフィルムや競泳用のゴーグルなどをイメージしてください。

池上

池上

リンテックでもハーフ蒸着素材を扱ってはいますが、そのほとんどが蒸着フィルムのメーカーからの購入品で、ラベル用途ではなく、もっぱら窓ガラスに貼るウインドーフィルムとしての用途が主流でした。というのも、これまでのハーフ蒸着ではラベルとして必要な印刷適性や、粘着剤との密着性などの機能を加えることが困難だったのです。

木村

木村

転機となったのは2016年に米国の機能性フィルムメーカーであるVDI社の買収です。これによりリンテックとしてラベルに適したハーフ蒸着素材の開発を一から行えるようになりました。

米国VDI社の子会社化が開発のきっかけに

輸送コストを考慮して
材料は米国で調達

木村

木村

ラベル用のハーフ蒸着素材を開発することになり、私は2018年に米国VDI社に出向しました。VDI社は高い蒸着技術を持っていたので、最初は日本の材料を米国に送って作れば同じ品質の製品が作れるだろうと簡単に考えていたのですが、この考えは甘かったです(笑)。この方法だと輸送コストが掛かり過ぎることに到着して早々に気づきました。

杉本

杉本

そんな苦労が・・・。ただ確かに、輸送コストが掛かるとその分ラベルの値段が上がってしまうので、市場を開拓していくうえでなかなかお客様に薦められなくなりますね。

木村

木村

そう、製品として認められるには価格も重要。そこで気持ちを切り替えて、現地の人たちに「こういう素材が欲しいのですがいい会社は知りませんか」と聞き回る地道な調査からスタートしました。現地の人たちの協力とともに出向した仲間の努力がなければ、開発にはもっと時間が掛かっていたと思います。

環境に配慮した
エマルション型粘着剤を開発

池上

池上

一方、私は日本の研究室で粘着剤の開発に取り組んでいました。蒸着フィルムには溶剤タイプの粘着剤を使用するのが一般的。ただ今回は環境への影響を考慮して無溶剤タイプ(エマルション型)の粘着剤を使用する必要がありました。なかなか思うような結果が出ず、焦ったことを覚えています。

木村

木村

蒸着面と粘着剤がしっかり密着していないと加工時に不具合が出やすいんですよね。エマルション型粘着剤は、どうしても溶剤タイプの粘着剤と比べると蒸着面との密着性が得られないので開発は難しかったでしょう。

杉本

杉本

ちょうどリンテックとしても環境配慮製品を揃えなくてはいけないタイミング。ハーフ蒸着という新しい基材を使ったラベル素材を開発するだけでも大仕事なのに、そこに「環境対応」という課題がさらに乗っかったわけですから、研究チームは本当に大変だったと思います。

環境に配慮したエマルション型粘着剤を開発

蒸着は生き物。
輸送時に金属が飛ぶことも

木村

木村

量産を考えると飛行機よりも船で運ぶ方が効率的です。そのためハーフ蒸着素材のサンプルも船で輸送していたのですが、到着まで2か月も掛かってしまって。リカバリーがきかない製品ということもありますし、試作を繰り返せば繰り返した分、余計に時間が掛かってしまいます。Livastaとして自信を持てる品質になっているのかどうか、2か月間ずっとドキドキしていました。

池上

池上

この素材を日本でずっと待っていたので、手元に届いたときは「ついに出会えた」と感動しました(笑)。この素材に木村さんをはじめとする現地の人たちの努力が詰まっていることは知っていましたが、日本の品質にかなうレベルに仕上がっていなくては、その努力も水の泡。私も緊張でドキドキしながら試験を繰り返していました。

木村

木村

特に怖かったのが蒸着の濃度ですね。輸送している間に金属が酸化することで、せっかくの蒸着が薄くなったり、最悪のケースでは透明になることも考えられました。当時はよく「蒸着は生き物ですから」と口癖のようにあちこちで言い回っていましたね。

蒸着は生き物。輸送時に金属が飛ぶことも

メタリック調で未来感のある
外観がウリ

池上

池上

最終的に木村さんが開発した素材と、私が開発した粘着剤がうまくマッチングしたときはガッツポーズが出るほどの喜びでした。しかも既存のフィルムが50ミクロンくらいなのに対し、今回開発した「ハーフ蒸着ラベル素材」は36ミクロンと大幅な薄膜化に成功。石油資源の使用量を約30%も削減することができ、当初考えていたよりもずっと高性能な製品を上市することができました。

杉本

杉本

提案させていただいたお客様からも「これいいですね」という声をたくさんいただいています。透け感のある蒸着素材で、しかも環境性能の高いラベルなんてこれまで市場にありませんでしたからね。「ハーフ蒸着ラベル素材」の登場をきっかけに、これまでにないデザインの商品がさまざまな業界から出てくると思います。

木村

木村

メタリックな風合いのラベルを安定して作るのは、他の方法では難しいと思います。印刷でも頑張ればできないことはないと思いますが、ムラが出ないようにしながらも薄く、均一に塗るのは至難の業。そういう意味でもこの未来感のある面白い外観はLivasta唯一のものだといえるでしょう。

メタリック調で未来感のある外観がウリ

ハーフ蒸着ラベル素材の
可能性は無限大

池上

「ハーフ蒸着ラベル素材」を展示会に出展したとき、来場したお客様から「面白い」と言っていただいたことがありました。この反応がやはり一番うれしいんですよ。これからは今回の技術をさらに発展させ、より多くの人に興味を持っていただける製品作りをしていきたいですね。

木村

木村

「ハーフ蒸着ラベル素材」の開発業務を通して、プラスチックのフィルムに金属をコーティングする技術をリンテックは持つことができました。金属ならではの機能をLivastaの新しい強みにすることで、さらに市場を驚かせられるような製品が開発できると思っています。

杉本

杉本

お客様の反応を見ると、「ハーフ蒸着ラベル素材」の市場認知度は今後ますます高まっていくという手応えを感じています。また、販促活動を続けているとお客様から「もっとこうしてみては」とカスタマイズのヒントをいただく機会があるので、こうした情報はしっかり研究室にフィードバック。営業と研究所が一丸となれば、「ハーフ蒸着ラベル素材」の可能性はさらに広がっていくはずです。

SUCCESS STORY

品番検索・技術資料

品番検索・技術資料

印刷用粘着紙と印刷用粘着フィルム、可変情報印字用ラベル素材のラインアップをシリーズごとにご紹介しています。各製品の基材色や、粘着剤のタイプなどをご確認いただけます。

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